TVアニメ Kanon 第22話 追想の交響楽 ~symphony~ 感想
2007.03.02(Fri)
「Kanon」名雪は自分のせいで秋子さんが事故に遭ったと思っていましたね。
「彼女の好きなイチゴのケーキ」
「雪のうさぎ」
それを構成する色は、普通に考えると赤と白の二色。
第21話でも、あの雪うさぎとケーキが潰れるシーンが痛かった。
しかし、こうも心に訴えてくるのは何故ですか。
やはり、どちらにも想いが込められていたからですよ。
それは誰かを確かに笑顔にする事ができたはずの物で。
だけど、どちらも報われる事はなく潰されてしまった。
とにかくその場面を重ねられると、切なさでどうしようもなくなりますね。
(TVアニメ Kanon 第22話 追想の交響楽 ~symphony~ 感想)
(心の在り処)
名雪は自らの殻に閉じこもってしまって・・・。
祐一もどうすることもできず、部屋で一人、一枚のプリクラを見つめました。
それは真琴達と一緒に撮った。
あの想い出の詰まった家族の写真です。
其処に詰まっているのは哀しい想い出でもありました。
でも、それ以上に楽しかった時間でもあるはずですよね。
辛い時は何かを思い出します。
誰だって、心の逃げ場所を探して。
「祐一、奇跡って起こせる?」
名雪の言葉は祐一にとっても名雪にとっても、酷なのは解り切っているのに。
そして、今の祐一の説得なんて一枚の薄っぺらい硝子のようなもの。
割れやすく、壊れやすい。
表面には綺麗に映すけど、いつまでも残りはしない。
足りないんですよ。想いが、想い出が。
かすかに覚えているのは哀しく脆い。
そんなのばかりで――。
(止まない旋律たち)
今回は自分の今までの見方も短く書いておきます。
あくまでこのアニメの話ですが。
真琴と祐一は昔の事も思い出した。
二人だけの想い出もあった。
それは確かに短い間だったけど、其処には不思議とたくさんの想い出ができた。
そして、それからの想い出も、まだまだ足りないだろうけど作れた。
言うなれば春を待ちましょう。
"いつの日かエンド"です。
舞と祐一は過去よりも、未来に目を向けた終り方をしました。
佐祐理さんも一緒にいる。
なら、この三人は"友達エンド"なのでしょう。
栞と祐一は、ある意味で「お兄ちゃん」という一線を作ってましたからね。
それに栞も本当は「お姉ちゃん」を求めているのが解りきっている描写で。
そして、栞もお姉ちゃんと話す事ができて仲直りできた。
きっかけを作ってあげたのは祐一。
祐一とは、もっと時間があれば恋人になっていたかも知れない。
このアニメ版では真琴や舞よりも、栞はそう予感させるものがあった気がします。
でも、栞も最後は祐一の前から姿を消してしまった。
そのどうすることも出来ない悲しみのために。
きっとあれは"ありがとうエンド"ですよ。
だけど、この三人に共通して言えるのは。
もしかしたら変わるかも知れないっていうのを残しながら引いているんです。
第14話で佐祐理さんが言っていたように、関係は思い出は変わっていけるかも知れないって。
そのために必要なのは時間だったり、積み重ねだったりするのでしょう。
だから結果的に曖昧になるのですが。結局ハッキリしていないんですよね。
けどそれは、そう思えるまでにも、それが必要になってくるからです。
じゃあ、名雪と祐一はどうなんですか。
名雪は祐一の事が好きなんですよね。
今までに描かれてきた「好き」じゃなくって、明確に異性として「好き」なんですよね。
ならば、やっぱり二人だけの想い出は大切じゃないかな。
なのに、祐一は忘れているのです。あゆが好きなのです。
名雪もその気持ちを知っている。
だから自分の気持ちを閉じ込めておくしかない。
想いが積み重なって、其処には想い出ができるのに。
あるのは名雪からの積み重ねだけ。
そして、秋子さんの存在は違う。それは祐一とは決定的に違う。
ずっと一緒だった秋子さんと、いなかった祐一。
名雪と祐一にある、空白の時間。
祐一が思い出したのは「名雪」のことではなく、「雪うさぎ」だった。
だから名雪の言葉に祐一は何も言えなくなってしまう。
言葉に詰まってしまう。
秋子さんと祐一の存在の違いは一緒にいた時間の差ですよ。
そして秋子さんは名雪のたった一人の理解してくれていたお母さん。
今の祐一に埋められる訳がありません。
今の祐一には秋子さん以上の存在になんてなれはしないのだから。
名雪が「笑えなくなっちゃったよ」と言った時は、見てる自分の心も潰された気がしました。
そして、祐一が名雪を助けたいと本当に願うのなら。
奇跡というより相当の覚悟が必要じゃないのでしょうか――。
(真っ赤な想い出)
祐一は今まで忘れていた記憶を思い出します。
それは様々な伏線も解き明かされていくということ。
色々とあるでしょうけど、その学校での給食は確かに「たい焼き」だったのです。
"楽しかった時間"
それは幼い少年の中で、赤一色に染まってしまったのでしょうか。
白い心は、赤い世界で埋め尽くされてしまったのでしょうか。
だから赤と白で構成された物を、少年は壊したのかも知れません。
それが彼女の気持ちだったなんて、その時は考える余裕もなくって。
"毎日同じ景色"
君がそこから見ている景色を、僕は見たことがない。
そこから見える景色はいつも同じなのかな。
君はいつもそこで幸せそうに微笑んでる。
僕はそんな君を見てるの好きだけど。
本当は一緒な景色を一緒に見て。
そして君と一緒に笑ってみたい。
でも、今日の僕にはこれがある。
これを渡せば、君はもっと笑顔を見せてくれる。
僕の側で。もっと側で。
きっと、そう思う。
そりゃあ確証なんてないんだけど――。
幼い頃の祐一には、きっとそう思えていたのでしょう。
二人はその場所が好きだった。
とても大切な優しい場所だった。
祐一が持ってきたプレゼント。
それを渡すと、その世界は変わっていたのかもね。
プレゼントは贈る方にもワクワクする期待があります。
その受け取る人がどんな顔をするかなって。喜んでくれるかなって。
なのに、そのプレゼントは。
なのに、その優しい世界は。
少年が見ている前で、真っ赤に染まってしまった。
そして、少年と少女は約束を交わす。
繋がれた指は、まだ繋がれたままに――。
(描かれた世界の中で・・・)
なんだろね。今回は見てて辛かったですよ。
今まで見た中では、一番心にしっくりきた気がしました。
言いますけど、こういった気持ちは真琴の時以来ありませんでした。
そして、あの第8、9、10話以上の切なさなのかも知れません。
やっぱり、あゆと名雪の事は最初の頃からずっと時間を掛けて描写されてきましたから。
淡い粉雪のように、ゆっくりと心にも降り積らせていたからじゃないのかな。
それに雪の描写です。
激しい雪。柔らかな雪。優しい雪。
あの次回予告を見ましたか。その雪の描写が半端じゃありません。
雪と世界と声しかないのに。
それだけなのに、その存在感はとにかく半端じゃなかったです。
そして、祐一が全てを諦めかけた時に現れた少女。
あの光の中に。あの光の先に。一体何があるんですか。
確かに見てて辛いのは辛いんですけど。
いっそ、ここまできたら逆にワクワクしてきましたよ。
もはや哀しいとかいうのを通り越して物語の結末が楽しみです。
もう考えるとドキドキするんですよ。
あ、あうーーーっ!!
最後に待っているはずであろうハッピーエンドが自分は楽しみです。
きっと次回で全て解るんじゃないかな。
そして最終話ではすごいことが待っていそうな気がしております。
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