空色ホーム > 空詰想話 > そらから。 color.1 「お姉さまは今を求める」

そらから。 color.1 「お姉さまは今を求める」

2008.02.11(Mon)


(そらから。 color.1 「お姉さまは今を求める」)


それは室内の空気に夜だけが持つ冷ややかさが纏う頃。

私の側では一人の少女が泣いていた――。

「くすんくすん・・・」

その泣き声はまるで幼い子供がすすり泣いているかのよう。

そんなシチュエーションはあまりに不意打ち。

だって、途端に私はあなたのことを愛おしいと思ってしまったじゃない。

それがきっと今だけだろうと。

ねえ、あなたは私に今を感じさせてくれるの?

なら、そっとあなた抱き寄せて。

それから、あなたが決して痛がらない程度の力で、ぎゅ・・・って抱きしめて。

すると、あなたは小さく声にならないような言葉を発し、それを境に零れる滴も止まった。

私はそんなあなたの頭を優しく撫でて。

それは指先ではさらやかに、手のひらではくすぐったい。

そして軽くて力のないあなたは私にされるがままに。

だけど、そこには嫌がっている素振りはまるで見えない。

「ああ、お姉さま・・・」

そう夢見るように呟いて、あなたは私の顔を見上げてきたわ。

だから、私はにこやかな笑みをちゃんと返してあげる。

するとあなたはより嬉しそうな表情浮かべるのだから。

ふふ、そうよ。私はちゃんと知っているわ。

あなたはこうされるのが嬉しいのでしょう?

だって、いつかの夜にもそれは二人で確かめ合ったのだから。

あの夜は今日より寒かった。それに雪も降っていた。十二月の雪。

「ねえ、白くて、雪ってまるで綿帽子みたいじゃない?けど・・・冷たい」

私はあなたにそんなことを話したかしら。いつもよりも幾分言葉多めに。

すると、あなたは私の目の前でころころ笑ってみせた。

その笑顔は私の中で白い世界を咲かせる。

そこではただ一輪だけ咲いている。

それは私だけにしか見つけられない、真っ白な花があるの――。


そう、だからこそあなたは特別。

だって、今の私がそう思っていられるのだから。


この手で触れて。その花びらに指は沿わせて。

そんな白い・・・ええ、きっと真っ白な百合の花。

今はそれに・・・この指と唇で更なる白を与えてみたい・・・。

それから二人はだんだんと言葉少なくなって。

その内にそれを発するものは塞がってしまって。

いいえ、私が塞いだのよ。

そして、その時の柔らかさも温かさを・・・まだ私はちゃんと覚えていた。


ええ、私はいつでもちゃんと覚えている。

だけど、すぐに忘れてしまうことも同時にできる。


そして、今の私は自分の唇へと自らの右手の人差し指を軽く押し当てた。

するとあなたはそういう雰囲気を感じたのか、そのつぶらな瞳を小さく伏せる。

可愛い子。

私はそう心の中で思った。

そして同時に馬鹿な子だわ・・・とも。

いいわ、今夜もそのまぶたに優しい口づけをしてあげる。

私の可愛いお気に入りの、まるでお人形さんのようなあなた。

その代わりにちゃんと私に今を感じさせて。

でないと、きっと私。

・・・そう、お人形にはたくさんの代わりもあるのだから・・・。


(color.2へと続く)

   これはweb拍手だよ〜いっぱい送って欲しいなあ〜。ww  空色のトップページに戻ります
<<くすっ、百合系のラブコメはお好きですか? | 空色ホームへ | <きらレボ>カード売り上げ4000万枚 モー娘・久住小春主演で驚異の大ヒット>>
コメント
コメントの投稿
(空色へのコメントは大歓迎。出来る限りお返事も書かせて頂きます。けど内容によっては削除する場合も☆)

NAME:

MAIL:

URL:

COMMENT:

PASS:

SECRET: 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
(言及リンク制となっておりますが、空色へのトラックバックはお気軽にどうぞ。しかし宣伝などは即まっさつだよ☆)
トラックバックURL:
http://yukimisora.blog29.fc2.com/tb.php/2624-fcc0f244
| 空色ホームへ |