そらから。 〜so la ka ra〜 藍乃/image.1 「みずいろメロディ」
(そらから。 〜so la ka ra〜 藍乃/image.1 「みずいろメロディ」)
それは、とある真昼のこと。
「七海 藍乃」は学院にあるプールサイドで一人座り込んでいた。
「はあっ、はあっ・・・はあ・・・」
少し肩で息を切らしている。
先ほどまで全力でコースを泳いでいたのだ。
だが、今は水から上がり。
そして、髪からの水滴が身に纏っているスクール水着に滴り落ちていた。
藍乃は泳ぐ事がとても好き。
泳いでいれば何も考える事がなくなる。
どんな嫌な事だって忘れられてしまう。
まるで洗い流されるように消え去ってしまう。
そう、まさに水の中では藍乃だけの世界が待っていた。
それは藍乃にとって、何よりもかえがたい。
其処では快感とも思われるようなフレーズが藍乃のことを待っていた。
聞こえてたの。
みずいろメロディ。
私はこのおとがだいすき。
とても、とてもよ・・・。
だが、先日の事だった。
そんな藍乃だけの世界に入り込んでくる。
不思議な存在がいたのである。
ここは藍乃だけのものだった、はずなのに・・・。
そのことを思い出すと、藍乃はもっと頑張らなくちゃと思う。
なぜならば、その人はとてもダイナミックでスピーディーな泳ぎを見せたのだ。
思わず藍乃ですら・・・嫉妬してしまうような・・・。
いけない!
藍乃はこんな気持ちを抱く自分にたまらなく嫌悪する。
もう一度泳ごう。
そうすれば、また何もかも洗い流せる・・・。
そして、藍乃はスレンダーながらも。
しかし、弾むべき場所は弾んでいる身体をシャープに動かし。
また水の中へと飛び込んでいった。
それは誰かが飛び込んだとは思えないくらいに静かで、美しいもので。
まるで人魚のように、藍乃は水とダンスを交えるようだった。
水を得た魚。水魚の交わり。
「あの人にだけは負けない」
そう、藍乃にとってこの場所だけはゆずれなかった。
なぜなら、藍乃にはこの場所に思い出があったのだから。
それは、あの夏の日に起こった、
まるで虹色をした宝石のような・・・そんな一週間のできごと――。
聞こえたいの。
みずいろメロディ。
私はこのおとがだいすき。
ずっと、ずっとよ・・・。
(藍乃/image.1 「みずいろメロディ」 〜終〜)
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